今回は花粉症の時期の飲み物についてみてみたいと思います。
皆様甘茶という飲み物はご存知でしょうか。
甘茶はユキノシタ科アジサイ属のアマチャ(Hydrangea macrophylla var. thunbergii)の葉を加工したもので、お釈迦様の生まれた日をお祝いする灌仏会(花祭り)というお祭りの日に甘露にみたててお釈迦様の像に注がれます。日本で灌仏会(花祭り)の始まった8・9世紀当初は香料を用いた香湯を使用していたそうですが、鎌倉時代から五色水・五香水となり、江戸時代から甘茶を使用し始めたそうです。
甘茶には抗アレルギー作用(皮膚アナフィラキシー反応の抑制、ヒスタミン遊離抑制)、歯周病菌への抗菌作用、抗酸化作用、胃粘膜保護作用、利胆作用が認められていますので花粉症以外にも効果が期待できますし、甘いものが欲しいけれど糖質は取りたくない時はよいですね。
梅雨時に散策していると、かわいらしいアジサイといった趣の花をたのしめますので、探してみてくださいね。山の方の古くからある庭園などには時折見かけます。
間違いそうなので一応書いておきますが、よく市販されている甜茶はバラ科キイチゴ属の甜葉懸鉤子という植物が原料になっていることが多いようです。他の植物も甜茶と呼ばれることもあるようですが、大体市販品の箱にバラ科と記載があります。花粉症にたいしてはGODポリフェノールが効果があると期待されているようです。
他にも似た名前としてアマチャヅル(ウリ科)というものがあります。絞股藍という漢方薬で、伝統的には消炎解毒、咳止め、去痰で使われてきました。薬用人参と共通する成分があり、体が弱っている時や、高脂血症、肝炎などに使用されます。
べにふうきという緑茶も花粉症に良いといわれよく売られていますね。
べにふうきはアッサム系とダージリン在来を交配した品種です。80度以上で抽出した緑茶として飲むことでカテキン(エピガロカテキンガレート)をより多く含むようになり、抗アレルギー作用があります。(即時型アレルギー抑制とマスト細胞の活性化抑制、ヒスタミンとロイコトリエンを放出するIgE受容体への競合親和性)
お茶は昔から薬効が知られており、伝統的には風邪による頭痛・鼻閉、風熱による頭痛・めまい・目の充血、熱中症による頭痛・口渇、下痢、尿の出が悪い時などに使用されてきましたが、最近の研究では抗酸化作用、コレステロール濃度上昇抑制作用、放射線防護作用、抗腫瘍作用、血糖上昇抑制作用、血圧上昇抑制作用、抗潰瘍作用、歯垢合成酵素阻害作用、食中毒細菌殺菌作用、ピロリ菌除菌作用、白癬菌殺菌作用、インフルエンザウイルス不活化作用、消臭作用、ホルムアルデヒド吸着作用、整腸作用など多彩な機能が確認されています。
花粉症にお困りの方は、色々なお茶の効果を試してみてくださいね。いつもの内服薬だけでは症状が取りきれない時に、サポート的に使えると思います。
漢方内科担当 芹澤